だっふんだ!
やや切ない気分で帰宅。

ドア*1を開け、ドア*2を開け、ドア*3を開け、ドア*4を開ける。

◆注◆
*1=建物の入り口のドア
*2=玄関のドア
*3=玄関から部屋に入るドア
*4=冷蔵庫の扉

缶ビールを取り出し、タバコに火をつける。

切ない気分の原因の考え事をしていても仕方ないので、
テレビをつけてみる。

ブラウン管の中に、その男はいた。

志村けん

彼のスゴいところは、
『表情と動き』だけで、コミカルな空気を演出してしまうところだろう。
きっと彼は、日本語が理解できない外国人をも、
笑わせることができるであろう。

好んで彼の番組を見ることはほとんどないのだが、
チャンネルを変える気力もなかったので、
しばらく画面を見つめていた。

やはり、その『表情と動き』は素晴らしい。
志村けんを見て笑うというよりも、
彼の表現力、演技力に見入ってしまった。

私が高校生の頃、
『志村けんの だいじょうぶだぁ』
という番組があった。
怒濤の志村ワールド。コントめじろ押しであった。
強烈に覚えているある日の放送がある。

晴れた日に、縁側でお茶を啜るおじいちゃん(志村)。
亡くなってしまった、おばあちゃんと過ごした日々を回想する。

初めて出会った日、
デート、
プロポーズ、
結婚、
日常、
夫婦喧嘩、
子供の誕生、
部屋は狭いが、幸せな家族の暮らし、
娘の結婚、
孫の誕生、
退職、
夫婦二人の静かな暮らし、
妻の病気、
看病、
愛する人の死、
そして始まるひとりぼっちの生活。

それらはすべて回想シーンで構成され、
セリフは一切存在しない。
淡々と音楽が流れているだけであった。

そして、驚くことにオチがない。

志村氏は、ただただ、ある夫婦の出会いから別れを、
時間軸に沿って切り取り、
一言のセリフもなく、
笑わせるところは一切なく、
演じ切ったのだった。

本来“ベタベタなコント番組”の中で、志村けんが何を表現したかったのか、
私にはいまだに解らないのだが、
回想シーンの後に、再び縁側で茶を啜る老人の扮装をした
志村けんをカメラが捉えた時、
涙が流れそうになったことは、今でもはっきり覚えている。

「でも僕は、ドラマには出ない、映画にも出ない。だって僕は、コメディアンでいたいから。」

そのような主旨の発言を、雑誌で読んだ記憶がある。

今夜、志村けんは、画面の中で、ちょっとエッチなサラリーマンに扮し、
『エレベーター.コント』を演じていた。
「エレベーターの扉が開くと、そこには…?」っていう、お決まりのコントだ。
オチも読めるし、大爆笑することもなかったのだが、
今夜、私は志村けんに救われた。
憂鬱な気分を、少しでも和らげてくれたのだから。

「ありがとう!しむら〜!


cafe Apres-midi Vert/V.A.
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by twisted.nerve | 2005-04-07 23:53 | 雑文


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